草原のふるさとで育ち、日本で「生活を支える仕組み」をつくる。中国・内モンゴル出身、包さんの越境ストーリー ──Beyond Borders Vol.9

2026年05月05日

草原のふるさとで育ち、日本で「生活を支える仕組み」をつくる。中国・内モンゴル出身、包さんの越境ストーリー ──Beyond Borders Vol.9

連載企画「Beyond Borders」第9回は、中国・内モンゴル自治区出身の包(ホウ)さん。広い草原と温かな人々に囲まれて育った包さんは、日本への憧れを胸に留学を実現し、そのままこの国で働く道を選びました。現在はGTNのグローバル保証審査部で責任者を務め、外国人が安心して住まいを借りられる環境づくりに向き合っています。来日当初の戸惑い、日本で学んだこと、そして「越境」への思いを語ってもらいました。(EP212)

GTNの社員の約7割は外国籍。
なぜ日本を選んだのか、どんな思いで働いているのか──。

連載企画「Beyond Borders」では、GTNの外国籍社員、一人ひとりの「越境ストーリー」を通して、多文化共生のリアルをお届けします。

今回登場するのは、中国・内モンゴル自治区出身で、グローバル保証審査部の責任者を務める包さん。外国人が安心して住まいを借りられる環境づくりに向き合う姿勢が評価され、2025年のGTNアワードでは社長賞を受賞しました。

草原と人のあたたかさに育まれた、内モンゴルから日本へ

日本での家族旅行の様子。自然が好きなのは、草原で育った原体験があるからかもしれません。

──ご出身について教えてください。

中国の内モンゴル自治区東部にある通遼市です。広い草原と大きな空が広がる自然豊かな場所で、都市と草原文化が共存しているのもこの地域ならではの魅力です。人との距離が近く、困ったときには自然と助け合う空気があります。モンゴル族の伝統文化も今なお息づいていて、歌や馬頭琴、ナーダム祭りが日常のなかにあります。美しい自然と人のあたたかさ、そして羊肉料理やミルクティーなどの食文化も、私にとって大切な原風景です。

──母国と日本で、似ている点や違う点はありますか?


礼儀や家族を大切にする価値観は共通していますね。一方、日本は時間やルールを重んじる文化が強く、中国はよりフランクで人との距離が近い印象です。それぞれに良さがあると感じています。

村で聞いた「日本留学」の話が、憧れのはじまり

── なぜ日本に興味を持ったのですか?

子どもの頃、村にいた日本留学経験者の話を聞いたことがきっかけです。直接会ったことはありませんが、その存在が強い憧れになりました。その後、日本の電子製品やアニメに触れるうちに興味はさらに深まり、大学に入ってから本格的に留学を目指すようになりました。

── 来日を決めたきっかけは何でしたか?

留学の夢をルームメイトに話したところ、「夢があるなら努力してみたらどう?」と背中を押してくれました。その言葉が本気で動くきっかけになり、日本留学の経験がある方のサポートを受けながら手続きを進め、来日することができました。

── 日本に来たばかりの頃、印象に残っていることはありますか?

当初は「あいうえお」しか分からず、不安も大きかったです。アルバイトを始めてからは、日本人の仕事への真面目さや責任感に驚きました。街にゴミ箱が少ないことにも最初は戸惑いましたが、それが街の清潔さにつながっていると気づいてからは、自然と受け入れられるようになりました。

GTNで向き合う「住まいを支える仕事」

──GTNに入社したきっかけを教えてください。

大学院のゼミの後輩がGTNでアルバイトをしていて、「外国人の生活をサポートしている会社で、とても良い会社ですよ」と紹介してくれたのがきっかけです。もともと日本で暮らす外国人を支える仕事に関心があったこともあり、応募を決めました。

──現在の業務内容について教えてください。

入社7年目(2026年4月現在)となる現在は、グローバル保証審査部の責任者として審査部全体の業務管理を担当しています。管理会社からの保証申し込みの確認・入力・審査、必要に応じた電話確認、結果の連絡まで一連の流れを管理しながら、チーム全体がスムーズに動けるようサポートしています。

──この仕事に向き合ううえで、大切にしていることは何ですか?

大切にしているのは、現状に満足せず、もっと成長したいという気持ちです。常に「自分はまだもっとできるのではないか」と考えていて、新しいことにも前向きに取り組みたいと思っています。責任のある立場で仕事をすることは、自分自身の成長につながるだけでなく、会社やチームへの貢献にもつながるはずです。現状にとどまらず、より高い目標に向かって進んでいきたい。そんな思いを持ちながら、日々の仕事に向き合っています。

また、外国人のお客様から感謝の言葉をいただいたときには、特にやりがいを感じます。「部屋が見つかりました。ありがとうございます」と言っていただけると、自分の仕事が誰かの安心につながっているのだと実感できます。

2025年のGTNアワードで社長賞を受賞した包さん。仕事への真摯な姿勢と、安心して住まいを借りられる環境づくりへの貢献が評価されました。

──今、特に力を入れていることは何ですか?

審査業務のデジタル化です。将来的にはAIも活用しながら、よりスピーディーで効率的な審査を実現したいと考えています。その先に目指しているのは、日本に来た外国人がもっと安心して生活できる環境をつくることです。住まいは生活の基盤になる大切なものなので、外国人という理由だけで部屋を借りることが難しい状況を少しでも減らし、安心して住める環境を広げていきたいと思っています。

また、日本で暮らす外国人と日本人がお互いに理解し合い、調和しながら共に生きていける社会も実現したいです。GTNの仕事を通して、外国人が安心して暮らせる社会づくりに貢献していくことが、自分の目標です

支えられながら学んだ、日本の働き方とコミュニケーション

── 日本で働く中で、自分が変わったと感じることはありますか?

日本で働く中で、ビジネスマナーや礼儀をより大切にするようになりました。挨拶や言葉遣い、相手への配慮など、仕事における細かなマナーの重要さを実感しています。こうした経験を通して、礼儀や責任感、仕事に向き合う姿勢について多くのことを学び、自分自身も少し成長できたと感じています。

──日本で働く中で、周囲の人との関わりで印象に残っていることを教えてください。

外国人だからと特別扱いするのではなく、日本人と同じように接してもらえたことです。日本語が十分でなかった頃も、同僚や上司は丁寧に仕事を教え、分からないことがあれば何度でも説明してくれました。生活面でも気にかけて声をかけてもらうことがあり、「支えられている」と感じる場面がたくさんありました。そのおかげで、安心して仕事を覚えることができました。

──文化や言語の違いを感じたとき、どんな声かけがあると安心できますか?

「分からなくても大丈夫ですよ」「ゆっくりでいいですよ」といった言葉があると、とても安心できます。理解しようとしてくれる姿勢そのものが、大きな支えになります。私自身もそうした経験があるからこそ、今は困っている人に丁寧に説明し、安心して相談できる環境を大切にしています。

──日本で働く中で、自分の中に取り入れたいと思ったことはありますか?

相手のことを考えて行動する文化です。「人に迷惑をかけないようにしよう」という意識が自然と根づいていて、周りへの配慮が行動に表れていると感じます。また、仕事がマニュアル化されていることで、誰でも進め方を理解しやすく、安定したサービスの質を保ちやすい。こうした考え方は、自分の母国やこれから関わるさまざまな環境の中でも活かしていけたらと思っています。

「越境」とは、見えない壁を越えていくこと

── この記事を読んでいる皆さんへメッセージをお願いします。
私が大切にしている言葉です。中国語では「入乡随俗」と言いますが、世界のどの国や民族にも共通する大切な考え方だと思います。新しい国や地域に行ったときは、まずその土地の文化や習慣を受け入れ、理解し、尊重すること。そうすることでお互いの理解が深まり、人と人との間の誤解やトラブルも少なくなっていくと思います。

最後に

草原のふるさとで育った原風景と、日本で積み重ねてきた経験。その両方が、いまの包さんの視点を形づくっているように感じます。外国人が安心して暮らせる社会を支える仕事の先に、包さんが思い描く「共に生きる社会」が少しずつ広がっていく。そんな未来を感じさせてくれるインタビューでした。

これからもGTNの仲間たちの越境ストーリーをお届けしていきます。次回もどうぞお楽しみに☺️

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