つなぐ、を10年。GTN Mobileが切り拓いた “外国人インフラ”の現在地

2026年03月30日

つなぐ、を10年。GTN Mobileが切り拓いた  “外国人インフラ”の現在地

GTN Mobileの10周年を記念するイベントが、2026年1月29日に開催されました。 会場には、これまでの歩みを支えてきたメンバーやパートナーが集まり、久しぶりの再会に笑顔がこぼれる場面も。節目を祝う温かな空気のなかで、“10年史”を振り返るトークと、通信業界のキープレイヤーが集う特別セッション「未来を編む、対話の場」が行われました。外国人が日本で暮らすとき、通信はどんな役割を果たしてきたのか。そして次の10年に求められるものとは?GTN Mobileの軌跡とともに、その現在地をお届けします。(EP207)

GTN Mobileとは? 外国人の“最初のインフラ”をつくる挑戦

外国人が日本で暮らし始めるとき、いくつかの壁に直面します。住居、就職、通信、金融。GTNが向き合ってきた“4つの課題”の中でも、モバイルはとりわけ現実的で切実な入口でした。

いまや携帯電話は、ただ電話をかけるためのものではありません。家族や友人とつながり、仕事や学校からの連絡を受け取り、地図を見て移動し、買い物をし、お金を払う。困ったときには、まずスマートフォンで調べる。そんなふうに、通信は日々の暮らしを支える“ライフライン”になっています。当たり前すぎて見えにくいけれど、通信は、異国で生活を始める人にとって「生きる基盤」そのもの。GTN Mobileは、そんな大切な入口を支えるために生まれました。

後藤社長は、端末の割賦販売が主流だった当時を振り返り、「通信が金融商品になってしまっていた」と語ります。とくに外国人にとって大きかったのが、端末の分割払いに伴う与信の壁でした。在留期間の残りが分割回数より短いことや、日本での信用情報が十分にないことから、必要としていても契約にたどり着けない。そんな現実が、確かにそこにありました。

一方で、2010年代前半には、スマートフォン向けの安価なSIMカードへのニーズが高まり、MVNO(※)への参入も広がっていきます。そうした変化のなかでGTNが問い続けたのは、「外国人にとって一番良いサービスって何だろう」ということでした。

ただ、その出発点は、決して華やかな成功物語ではありません。原価や手数料の負担は重く、当初は、契約が増えても利益につながりにくい厳しい構造だったと振り返ります。それでも、目の前には、このサービスを必要としている人がいる。だからこそ、やる意味があった。

GTN Mobileの挑戦は、そんな切実なニーズに向き合うところから始まりました。
※MVNO(Mobile Virtual Network Operator):大手通信会社の回線を借りて、独自の料金プランでモバイル通信サービスを提供する事業者のこと。いわゆる「格安SIM」の多くがこの仕組みで提供されています。

GTN Mobileの歴史を紡いだ、10年の歩み

左から、佐藤彰(通信事業責任者、執行役員)、松本景航(事業企画・システム担当マネージャー、現・プラットフォーム推進部長)、鈴木厚史(GTN Mobile初期メンバー、現・人事部長、執行役員)、安英壹(GTN Mobile共同創設者)。

10周年という節目を迎えたいま、あらためて振り返りたいのが黎明期を支えた人たちの存在です。

当時、通信部門は“ほぼ1人部署”。中心にいたのが鈴木さんでした。MVNO事業の立ち上げには、想像以上に幅広く細かな作業が必要でした。MVNE(MVNOのサービス提供を技術面で支える事業者)との調整、価格設計、販売、申込書の整備、契約の整理、弁護士への相談……。

日中はお客様対応や学校への営業、夜は申込み登録やSIMのセット作業まで。鈴木さんは「1人でのスタートで、MVNO事業は本当に難しかった」と当時を語ります。派手さはなくても、確実に誰かの生活を前に進める——そんな“現場の体温”が、この10年の土台になりました。

物語が大きく動いたのは「出会い」の瞬間です。GTN Mobile発起人の安さんは、当時各所のキャリアショップの現場で外国人の登録審査が通らない現実を目の当たりにしてきました。さらに、ご自身も日本でつらい思いをした経験があったと語っており、そうした実感が「なんとかしなきゃいけない」と使命感を募らせてきました。実際、安さんは1か月でひとつのキャリアショップにて約2000台を新規販売した記録を持つ、現場のスペシャリスト。通信の課題を“机上”ではなく“現場”から捉えてきた経験が、GTN Mobileの推進力となっていきました。後藤社長も「認識と思いが一致して、一緒にやろう、合弁会社を作ろうという結論に至った」と振り返ります。

さらに、事業の成長を後押ししたのがソフトバンクとの提携でした。鈴木さんは「仕入れに当たって手数料をいただけることで収益性が改善し、事業成長にアクセルを踏めるようになった」と語ります。後藤社長も品質面の変化を挙げ、「以前のSIMは遅くて困っていたが、ソフトバンク回線で速くなり、通話10分無料など“自信を持って売れるプロダクト”がようやくできた」と転機を語りました。

一方で、順風満帆な時期ばかりではありません。2016年頃から格安SIM事業者が増え、外国人向けを掲げる競合も増加。松本さんは「競合が非常に激しくなった」と振り返り、RPAやCRMの導入など“守り”の強化で、スケールできる体制づくりを進めたと語ります。後藤社長も「データSIMの“ばらまき”にはぶれず、生活の入口に必要な“音声SIM”を軸に積み上げていく」と、方針を明確にしました。

コロナ禍では、外部環境が激変する中でも“続けること”を選びます。松本さんは、既存ユーザーに長く使ってもらうための施策や、解約率の改善、キャンペーンやアプリ機能のアップデートに取り組んだことに加え、帰国できない方に向けたSIMの提供など、柔軟にニーズを拾う体制を整えたと語りました。
そして、GTN Mobileは“3.0”のフェーズへ。
現在の体制を率いる佐藤事業部長は、国際通信キャリアの現場にいた経験を持つ人物です。「国際電話って、今の時代もう使わないと思うじゃないですか。でもGTN Mobileのお客様は、いまも国際電話を使っている」。そんな佐藤事業部長の言葉からも見えてくるのは、外国籍のお客様にとって通信が、いまも暮らしの基盤であり続けているということです。

かつては、海外に電話をかけるにはもっと高い料金がかかるのが当たり前でした。それがいまでは、技術やサービスの進化によって、より便利に、より使いやすい形で届けられるようになっています。GTN Mobileが支えているのは、単なる通信回線ではありません。日本で暮らす外国籍の方々が、家族や友人、大切な人たちとつながり続けるためのインフラでもあるのです。そんな“当たり前のことを当たり前に”守り続ける細やかな改善が、この時期の特徴でもありました。

暮らしを“滑らかに”始められる社会へ

左より、後藤裕幸(GTN代表取締役社長)、赤羽根大輔さま(株式会社ASIA to JAPAN)、今井健さま(株式会社インターネットイニシアティブ)、加藤章弘さま(ソフトバンク株式会社)、佐藤彰(通信事業責任者、執行役員)。

イベント当日、会場の注目を集めたもう一つのハイライトが、特別トークセッション「未来を編む、対話の場」でした。ソフトバンク株式会社、株式会社インターネットイニシアティブ(以下IIJ)、株式会社ASIA to JAPAN、そしてGTN。異なる立場のプレイヤーが一堂に会し、外国人向け通信サービスの「過去10年」と「次の10年」を語り合いました。

セッションで共有されたのは、「通信は連絡手段を超えて、生活インフラになった」という実感です。ソフトバンクの加藤さんは、モバイル決済やAIの普及によって“通信が使えない=生活が止まる”時代になってきたと指摘。IIJの今井さんは、この10年を「インバウンド中心から“日本で暮らす人”中心へ」と捉え、来日直後に通信を整える“即日性”の重要性を語りました。販売の現場に近い立場からは、ASIA to JAPANの赤羽根さんが「日本に来る人の期待値が変わってきた」とコメント。働くだけでなく生活そのものを楽しみたい人が増えていることが、インフラの価値を押し上げていると語ります。

一方で、解決すべき課題が依然として残っていることも浮き彫りになりました。象徴的だったのが、いわゆる“鶏と卵問題”。銀行口座や住所がないと携帯契約が難しく、電話番号がないと賃貸契約も銀行口座開設もしにくいという入口の“ねじれ”が残っています。だからこそ、通信だけで完結させず、生活全体へ支援をつなげていく視点が欠かせない。そんな認識が、登壇者の間で共有されました。
その流れの中で、後藤社長が強調したキーワードが「滑らかに」でした。国境を越えて日本で暮らし始めるとき、相談できて、働けて、口座も作れて、通信も使える。必要なサービスが当たり前のようにつながっていく。GTNが目指している“滑らかさ”のある社会をつくるために、GTNは「空気のような存在になれれば」と語ります。

つなぐ、を10年。さらに佐藤事業部長は、次の10年に向けて、通信を外国人のお客様の暮らしを支える“基盤”として進化させていきたいと語ります。

「通信は外国人のお客様にとって基盤です。その上に、生活サポート、医療サポート、金融サービスなど、GTNが提供するさまざまなコンテンツが乗っていく。通信を単なる契約サービスとしてではなく、暮らしを支えるプラットフォームとして広げていきたい」

通信を起点に、暮らしを支えるさまざまなサービスをつなげていく。その構想には、GTN Mobileがこれから担っていく役割がよく表れています。
10周年という節目を迎えたGTN Mobile。 
これまでの10年で築いてきたのは、日本で暮らす外国人が当たり前に使える通信環境でした。その先にあるのは、便利さの先にある「安心」です。

「GTN Mobileの役割は、SIMを提供することではなく、日本で暮らす外国人の皆さまに“安心して始められる毎日”を届けることだと考えています」

通信を起点に、暮らし全体を支えていく。
GTN Mobile その挑戦は、次の10年へと続いていきます。

▶︎GTN Mobileについて詳しくはこちら

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