コミュニティが越境を支える― Beyond Borders

連載企画「Beyond Borders」がスタート!GTNで働く外国籍社員が、自らの越境ストーリーを語ります。日本に来たきっかけや働く中での気づきを通して「日本で暮らし働くリアル」をお届け!DE&I、多文化共生を考えるヒントを一緒に探してみませんか?(EP184)
なぜ日本を選んだのか、どんな思いで働いているのか──。
連載企画「Beyond Borders」では、GTNの外国籍社員、一人ひとりの「越境ストーリー」を通して、多文化共生のリアルをお届けします。
🌏 GTN Beyond Borders Summit 開催 🌏
10月22日(水)、GTNでは文化や国境を越え、経営戦略として外国人活用を考えるイベントを開催します✨
第一線で活躍する企業・有識者とともに、外国人活用を「特別な取り組み」ではなく「経営のスタンダード」にするための視座を共有します。
オンライン・無料でご参加いただけるので、ぜひご参加ください。
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なお、この連載で紹介するGTN外国籍メンバーの越境ストーリーは、10月22日開催の GTN Beyond Borders Summit の会場でも展示されます。記事とあわせてお楽しみください👀
GTNを伝える広報として、そして“越境する当事者”として

GTN広報部の呉です。
社内メンバーの魅力を発信したり、GTNと同じ志を持つ社外の団体の方々とのつながりをつくったりすることを担当しています。
普段はGTN WOWで「Let's ゴ!」という企画をお届けしていますが、今回はちょっと特別に、私自身の「越境ストーリー」を皆さんにシェアしたいと思います。どうぞお付き合いください!
なぜ日本を選んだのか?私の越境のはじまり

日本に来た理由は、ちょっとユニークかもしれません。実は江戸時代の「大奥」のゴージャスな世界観と当時の人々の暮らしを研究することが大好きで(笑)、そこから日本の歴史や文化に強い興味を持つようになったんです。香港の大学で日本語を学び、もっと上達させたいと思い、日本でのワーキングホリデーを決意しました。
最初は「1年くらい住んでみよう」と軽い気持ちでした。でも、日本では意外と就職ビザが取りやすいことを知り、気づけば長期滞在へ。香港ではインターナショナルスクールの先生や大手企業の管理職レベルでないとビザが難しいので、その違いも大きかったです。
実は私は、学生時代から大都会で一人暮らしすることに憧れていました(これは完全に『Sex and the City』の影響です)。出身地の香港では家賃が高く、一人暮らしは夢のまた夢。でも日本では、安全で医療も整い、他人に干渉されすぎない自由な空気の中で、念願の「自分の城」を持つことができました。その居心地の良さから、「ここで生きていこう」と思うようになったんです。
もちろん、来日当初は大変なこともありました。日本語はN3レベルで、毎日「変な日本語+ジェスチャー」でなんとか暮らしていました(笑)。半年ほどは英語が通じる農園や、宮城県石巻市での震災復興ボランティアに身を置き、困ったときは周りの方々が通訳して助けてくれました。
支えてくれたのはコミュニティの力

そこで出会った人たちに、仕事探しのアドバイスや生活情報を教えていただいたり、引っ越しを手伝っていただいたりと、本当に多くのサポートを受けました。初めての大晦日には、教会の友人の家に招いていただき、日本ならではの年越しを一緒に体験させてもらいました。おかげで寂しいと感じる暇もなく、安心して新しい生活をスタートできたのです。
今振り返ると、私は本当に恵まれていたと思います。そして「コミュニティがあれば、人はどんな異国でもやっていける」と実感しました。その経験があるからこそ、今は自分が日本に来た外国人の「先輩」として、同じように誰かを助けたい──それが自然と今の仕事につながっているのです。
この経験から、外国人が安心して働くためには仕事だけでなく、居場所となるコミュニティが欠かせないと強く感じています。
人と人をつなぐ、外国人当事者としての広報の視点

外国人として働く私だからこそできることもあります。例えば、発信する内容が「当事者である外国人にどう届くか」を常に意識できること。自分自身もその当事者だからこそ、リアルな視点を持ち込めるんです。文化的に遠慮せずに意見をハッキリ言うのも得意で(笑)、その分、組織の中で議論を活性化させることができます。
そして、この仕事のやりがいは何といっても「情報で人を助けられる」と実感できる瞬間です。香港でのセミナーでは「内容がすごく役に立った」と声をかけていただき、GTNのSNS投稿に「参考になった」というコメントをいただくこともありました。自分の発信が、外国人社員や社会にとって安心や行動につながっていくのを感じると、「ああ、この仕事をしていてよかった」と心から思います。

郷に入っては郷に従え、日本での気づきと成長

ただ、その精密さゆえに、ときには困ることもあります。「あれ、この件って誰にお願いすればいいんだろう?」と迷子になったことは、一度や二度ではありません(笑)。でも、その経験を通して、自分で適切な窓口を見極め、人と人をつなぐスキルが自然と身についたと思います。
また、日本で働く中で大きな学びになったのは、プロセスや相手の気持ちを大事にする文化です。私の出身である香港のビジネス文化は欧米に近く、効率や結果にフォーカスする傾向が強いです。でも日本では、ゴールを目指すだけでなく、相手の体験やチーム全体の調和を重視します。
例えば、お願いの仕方ひとつにも違いがあります。香港ではシンプルに「これをいつまでにお願いします。できないなら、いつまでにできますか?」で済むことが、日本では「いついつまでに進めていただければと考えておりますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか?」といったクッション言葉が大切。最初は戸惑いましたが、今では状況に合わせて自然に使えるようになってきました!まさに「郷に入っては郷に従え」ですね。そして今では相手の気持ちに配慮することが、結果として良い成果につながると実感しています。
こうした経験を通じて、私はただ「外国人として日本で働く」だけではなく、「越境する当事者」として成長できたと思います。発信する立場としても、自分の言葉や態度が相手にどんな影響を与えるのかをより意識するようになりました。
だからこそ、社内での広報の発信でも「外国人社員がどうすれば日本の職場に馴染みやすいか」という視点を自然と意識するようになっています。
今では、日本社会と外国人コミュニティの間で、潤滑油のような役割を果たせたら──そんな思いで日々働いています。
「違いがあるからこそ美しい」──私からのメッセージ

Harmony without uniformity: Respect is not compromise, but finding beauty in difference.
「和して同ぜず」──尊重とは妥協ではなく、違いの中に美しさを見出すことです。
本当のダイバーシティは「みんな同じになること」ではなく、「それぞれ違うこと」そのものを大切にすること。
人は皆ちがうからこそ世界は美しいし、自分らしさを保つことに意味がある。そうした考えを、これからも広報の仕事や日常の中で大切にしていきたいと思っています。
最後に

農園やボランティアでの仲間、そして教会のつながり、そして今も、「外国人が日本に来てよかったをカタチに」という同じ理念を持つ仲間たちと共に働いています。
どういうふうにサポートするコミュニティをつくれるか──それが越境ストーリーを成功に導く大きなキーなのだと思います。
これからもGTNの仲間たちの越境ストーリーをお届けしていきます。
ぜひ次回も楽しみに☺️
📢 イベントのお知らせ
少子高齢化や人手不足など、日本社会が抱える課題に対して、国際人材との共創をどのように経営に活かせるのか──。
そんなテーマを一緒に考えるセッションをお届けします。
総合MCは、GTNのイメージキャラクターでもあるホラン千秋さん。
第一線で活躍する経営者や有識者の皆さんとともに、外国人活用の可能性を多角的に探ります。
ぜひお気軽にご参加ください👀
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