【多文化チームの新卒採用ストーリー vol.3】 全体を知り、自分を見つめる。納得して配属を迎えるためのGTNのオンボーディング設計

採用活動では「どんな人を採るか」に注目が集まりがちです。しかし、採用した人材をどう受け入れ、安心して力を発揮できる環境につなげていくかも、人事にとって大切なテーマです。特に、さまざまな背景や価値観を持つ人材を迎えるとき、一人ひとりが会社や仕事を理解し、自分らしい一歩を踏み出すために、どんなサポートができるのでしょうか。7割が外国籍のGTNでは(※)、約3か月をかけて会社全体を知る「One GTN Foundation Program」を実施。会社を知り、仕事を知り、自分自身についても考える。そのなかでは、入社時の希望が変わったり、同期とぶつかったり、思い通りの配属にならなかったりすることも。そんな3か月に人事はどう向き合ったのでしょうか。プログラムの設計・運営に携わる稲村さんと大沢さんに、試行錯誤も含めて聞きました。(EP231) ※2026年4月時点/対象範囲:全スタッフ
多文化チームの新卒採用ストーリー vol.2 はコチラ ▶︎ 不安の中身は、一人ひとり違う。GTNが大切にする新卒採用のかたち
なぜ、すぐに配属しない? 3か月かけてGTNを知る理由
オンボーディングプログラムの設計・運営に携わる人事の稲村さん。
そんな思いから生まれたのが、「One GTN Foundation Program」です。
最初の2週間で基礎を学ぶ集合研修を行い、続く約2か月で複数部署の実務を体験。最後の2週間で配属について考えます。約3か月をかけるのは、配属されたあとに、自信を持って最初の一歩を踏み出してほしいからです。
「せっかくまっさらな状態で入社してきてくれたのだから、GTNにどんな事業があり、現場のみなさんがどんな思いで働いているのかを肌で感じてほしかったんです。私自身、知識を得るほど前に踏み出せるタイプなので、新卒のみなさんにも、配属先で自信を持ってスタートするための“武器”を、この3か月で手渡したかったんです」(稲村さん)
実は、この「3か月」という期間も、最初から決まっていたわけではありません。
かつては1年間かけて複数部署を回っていましたが、新卒社員からは「早く自分の所属を持って落ち着きたい」、受け入れる現場からも、研修という立場では深い実務まで経験してもらいにくい、といった声がありました。そうした声を受けながら試行錯誤を重ね、現在の約3か月という形に。
「やりたいこと」が変わってもいい
人事の大沢さん。
入社当初に抱いていた仕事のイメージと、実際に経験した難しさや責任の大きさとの違いに気づいた人。一方で、それまで知らなかった事業に触れ、「こんな仕事も自分に合うかもしれない」と新しい可能性を見つけた人もいました。
GTN Mobileで研修中の新卒メンバーのみなさん。
そこでプログラムでは、各事業部長から直接、事業のビジョンや部署の「色(空気感)」を聞く機会を設けました。さらに、前年に入社した25卒の先輩社員とのパネルディスカッションも実施。研修が終わる頃には、新卒メンバー自身が、それぞれの部署が何を目指し、どんな仕事をしているのかを、自分の言葉で説明できるようになっていました。
研修後のアンケートには、こんな声もありました。
「3日間の研修ですべてを理解できるとは考えていません。疑問を持つことで、配属後も積極的に学ぶことができるのではないかと思いました」
すべてを知ることよりも、自分なりの疑問や関心を持って次へ進む。そんな変化も、この期間に生まれていました。
「単に『楽しそう』『雰囲気が良さそう』というイメージだけで決めるのではなく、仕事のリアルな難しさを知ったうえで、自分の強みをどこで発揮できるかを考えてほしい。そのためにも、実際にやってみることは大きかったと思います」(大沢さん)
15人で過ごした3か月。「違い」とどう向き合う?
新人研修の様子。チーム「G5」のみなさん。
「入社式で初めてみんなが顔を合わせたとき、すごく仲が良かったんです。『このまま順調に研修が終わるのかな』と思っていたら、進め方をめぐって意見が割れることもありましたね」(大沢さん)
そんなとき、大沢さんが意識していたのは、最初から答えを渡さないことでした。
「最初から『いや、そうじゃないよ』と言ってしまうと、自分の考えを否定されたと感じてしまうと思うんです。まだ信頼関係もできていない段階なら、なおさらです。まずは『そうだね』と話を聞く。その上で、『こういう考え方もあるんじゃない?』と提案するようにしていました」(大沢さん)
チーム「バッテリー」のみなさん。
研修後のアンケートには、「あまり主体的ではない自分でも、手を挙げてタイムキーパーをやると言い、みんなが何をしないといけないかをまとめられました」という声もありました。
「大学生のときなら、ぶつかったら『この人とは付き合わなければいい』という選択もできると思うんです。でも、社会人になると、自分とは考え方の違う人とも、一緒に仕事を進めていく場面があります。お互いの強みを生かすために、自分はどんな立ち位置にいればいいのか。それを自然と考えられるようになったところまでが、彼らの成長だったと思います」(稲村さん)
日本語の理解やニュアンスの違いを、同期同士で補い合う場面もありました。日本語が母語ではないメンバーだけでなく、海外で育った日本人メンバーが、日本語の細かなニュアンスにつまずくこともあったといいます。
「そういうときは、『これはこういう意味だよ』と、みんなが自然に補い合っていたんです。私たちが『サポートしてあげてね』と言ったわけではありません。今年の新卒のすごくいいところだったと思います」(稲村さん)
チーム「スポンジ」のみなさん。
第一希望ではなくても、納得して次へ進めるように
ただし、配属は本人の希望だけで決まるわけではありません。各部署の受け入れ状況や人員計画など、会社としての判断も必要になります。そのためプログラム中には面談を行い、「今どんな気持ちでいるのか」「どんな仕事に興味があるのか」を確認してきました。
第一希望とは異なる部署に決まったメンバーには、今の配属先で経験できることと、その先にあるキャリアを一緒に考えたといいます。
稲村さんも、自身の社会人経験からこんな言葉を伝えました。
「どんな仕事の経験も、きつかったことも楽しかったことも、きっとこの先の自分の糧になると思っています。ただ、新卒のタイミングでそう言われても、今すぐにはピンとこないこともあると思うんです。だから今は、彼らの中にひとつ“種”を渡せたらそれでいい。これからいろいろな経験をする中で、『あのとき言われたのは、こういうことだったのか』と思い出してもらえたらうれしいですね。その種をどう育てていくのかは、一人ひとり違っていていいと思っています」(稲村さん)
一方で、実際に運用したからこそ見えてきた課題もありました。
「今回、部署の希望をアンケートで聞いたあと、配属を決めるまでにもう一度面談を入れていなかったんです。でも、文字だけでは本人の本意をくみ取れない部分がありました。次は、希望を出してもらったあとに、もう一度きちんと話を聞く工程を入れるべきだと思っています」(稲村さん)
研修内容についても、実務を多く経験した部署では「もっと事業について知りたかった」という声があり、ワークショップ中心の部署では、逆に「もっと実際の仕事をしてみたかった」という声もあったそうです。同じプログラムでも、部署によって経験できることは違い、受け止め方も一人ひとり異なります。今回出てきた声をもとに、次年度に向けた改善も続けていきます。
オンボーディングも、育てながら育っていく
「紆余曲折ありましたけど、最後に『この15人でよかったね』と思える時間をつくれたことは、すごく大きかったですね」(大沢さん)
今回の研修では、前年に入社した25卒の先輩社員と話す機会も設けました。
「私が言っても響かないことが、直近の先輩から言われると響くことがあるんです。だから、先輩社員の話を聞いてもらう機会をつくれたのはよかったと思っています」(大沢さん)
そして次に考えているのは、先輩社員がさらに深く研修に関わる仕組みです。
「25卒が26卒を支えて、今度は26卒が27卒の研修に関わっていく。『新卒が新卒を育てていく』という循環は、すごくいいと思っています。これを制度としてつくっていきたいですね」(稲村さん)
迎えられた新卒社員が、やがて次の新卒社員を迎える側になる。オンボーディングも、完成した仕組みに新卒社員を当てはめるのではなく、その声や経験を受け取りながら、ともに育てていくものなのかもしれません。
次回は、配属後の成長を支える「メンター制度」についてご紹介します。






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