本から学ぶ、多文化共生のヒント/第3回 『日本に住んでる世界のひと』

本を通して、異なる文化や価値観、人々の暮らしにふれると、世界の見え方が少し変わることがあります。この連載では、多文化共生について考えるきっかけになる本を、一冊ずつご紹介していきます。第3回は、日本で暮らす世界各国出身の20人の物語を、著者自身の柔らかな手描きイラストとともに、誰にでも読みやすいかたちで届けてくれる『日本に住んでる世界のひと』です。(EP221)

一人ひとりに、のんびりと、じっくり耳を傾けてきた著者だからこそ書ける一冊。世界の人々をぐっと身近に感じられ、「外国人」という言葉の向こうに、一人ひとりの顔や暮らしが見えてきます。
一人の物語が、世界をぐっと近づける
ある国の名前を知っているだけでも、その国は少し身近に感じられます。でも、その国に暮らす誰か一人を知っていると、もっと近く感じられる。著者の金井さんは、そんなふうに考えているそうです。
ニュースで見る「外国人」や「〇〇人」という大きなくくりではなく、名前を持った一人ひとりの人生にふれること。それが、多文化共生を考えるうえでの、いちばん最初の一歩なのかもしれません。
世界を見てきた著者による、20人の肖像
登場する20人は、それぞれ異なる理由で日本へやってきました。その物語を読んでいくと、紛争や差別の歴史、民主化運動、気候変動など、一人ひとりの人生が世界で起きている出来事とつながっていることに気づかされます。
本のタイトルが「日本に住んでる外国人」ではなく、「世界のひと」なのも印象的です。「〇〇人」というひとくくりではなく、名前があり、暮らしがあり、家族がある——そんな一人ひとりの”世界のひと”なのだと、読み進めるほどに実感します。
国籍や日本語力、学歴といった”わかりやすい情報”だけでなく、その人がどんな思いでここにいるのか、どんな背景を背負っているのかを知ろうとすること。それこそが、多文化共生のヒントなのかもしれません。
みなさんも、多文化共生について考えるきっかけになったおすすめの一冊があれば、ぜひ教えてくださいね!
多様な人が暮らすとき、街はどうあるべきか?
本から学ぶ、多文化共生のヒント/第1回 『ソフトシティ 人間の街をつくる』
知らない場所で「暮らし始める」ということ
本から学ぶ、多文化共生のヒント/第2回 『バクちゃん』






著:金井真紀
発行:大和書房