外国籍社員が医療の場で感じた「ひとり」の不安──医療体験から考える、安心して働ける環境

2026年07月06日

外国籍社員が医療の場で感じた「ひとり」の不安──医療体験から考える、安心して働ける環境

外国籍社員の定着や活躍を支えるうえで、住まいや生活のサポートに取り組む企業は少なくありません。一方で、見落とされがちなのが「医療」というテーマです。 言葉や制度、文化の違いが重なり、不安や困りごとが生まれやすい医療の場面。日常生活では困らない人でも、体調が優れないときや専門的な説明を受ける場面では、戸惑いや孤立感を抱くことがあります。 実際にはどのようなことに戸惑い、どんなサポートが安心につながるのでしょうか。今回は、GTNの外国籍メンバーの医療体験を通して、誰もが安心して暮らせる環境づくりのヒントを探ります。(EP220)

目次
▼「自分は大丈夫」と思っていたのに
・あるある① 日本の医療制度がわからない
・あるある② 誰に相談すればいいかわからない
・あるある③ 体調が悪いときほど、言語力は落ちる
▼言葉の先にある不安を支えるために
▼「一人ではない」と思える環境をつくること

「自分は大丈夫」と思っていたのに

ある程度日本語が話せるようになれば、病院での受診も問題なくできそうに思えるかもしれません。しかし実際には、日常会話には困らなくても、医療特有の言葉や制度の説明が続くと、「何を基準に判断すればいいのかわからない」と戸惑うことがあります。

それは単なる語学力の問題ではありません。制度への不慣れさや医療文化の違い、そして体調が優れないなかで一人で判断しなければならない心細さ。そうしたさまざまな要素が重なり、「どこに頼ればいいかわからない」という不安につながることがあります。

GTNの外国籍メンバーに話を聞いてみると、そんな経験をした人は決して少なくありませんでした。
あるある① 日本の医療制度がわからない

Aさん(来日年数:非公開)

来日して間もなく、健康診断で紹介状をもらったのですが、大きな病院を受診するには紹介状が必要だという仕組み自体、そのとき初めて知りました。調べれば調べるほど難しそうに感じてしまい、その年は結局受診しませんでした。翌年の健康診断でも再び紹介状をもらい、今度は自分で調べながら受診しましたが、最初は何から始めればいいのかわからなかったです。

💡日本で暮らしていても、医療制度の仕組みまですべて理解しているとは限りません。受診の流れや予約方法、どの医療機関を受診すればよいのかなど、日本人にとって当たり前のことが大きなハードルになることもあります。
あるある② 誰に相談すればいいかわからない

Bさん(来日年数:12年)

母国では、病院探しや手続きは家族が支えてくれていました。ところが日本に来てしばらくしてから、初めて一人で病院を探すことになったんです。どこへ行けばいいのか、何科を受診すればいいのかもわからない。コロナ禍で帰国できなくなったときは、その不安がさらに大きくなりました。日本の医療を頼るしかないのに、誰に相談すればいいのかわからない。日本語の問題というより、頭の中に“医療の地図”がないような感覚でした。

Cさん(来日年数:非公開)

日本での生活にはすっかり慣れてきた頃、親知らずの抜歯手術を受けたときに、自分に合った病院を見つける難しさを実感しました。残りの親知らずの治療にあたっては、GTNのメンバーに相談し、自分の状況に合いそうな医療機関の探し方や候補についてサポートしてもらったところ、安心して治療を受けることができました。「最初から相談していればよかった」と思いました。

💡病院を探すとき、口コミサイトや検索結果だけではわからないこともあります。誰かに相談できるかどうかで、選択肢も安心感も大きく変わります。
あるある③ 体調が悪いときほど、言語力は落ちる

Dさん(来日年数:12年)

日常生活も仕事でも言葉に不自由さは感じることはなく、たとえわからない言葉があっても翻訳ツールやインターネットを使えば対応できます。しかし、39度の熱が出たときは、スマートフォンを操作する気力すらありませんでした。救急に行くべきなのか、どこに相談すればいいのかも判断できない状態でした。その時は「誰かいてくれたら」と思いました。

💡普段は問題なく日本語を話せる人でも、体調が悪かったり不安が強かったりすると、言葉がうまく入ってこなくなることがあります。

言葉の先にある不安を支えるために

紹介状の仕組みがわからないこと。
どの病院を受診すればよいのかわからないこと。
困ったときに相談できる相手がいないこと。
体調が悪いなかで、一人で判断しなければならないこと。

こうしたエピソードに共通していたのは、日本語能力そのものではありませんでした。外国籍社員が感じる不安の背景には、「どこに頼ればいいかわからない」という孤立感があります。

こうした不安を前にすると、「誰かに相談できること」や「必要な支援につながれること」の大切さが見えてきます。そのひとつの選択肢となるのが、医療通訳です。

安心して医療を受けるためのサポート

体調が悪いときや緊張している場面では、普段は問題なくコミュニケーションできる人でも、症状や不安を十分に伝えられなくなることがあります。また、医療制度や治療内容について理解できないまま判断することに、不安を感じる人も少なくありません。

そうしたときの支えのひとつとなるのが、医療通訳サービスです。GTNが提供する生活サポートサービス「GTN Assistants」でも、医療アクセス支援サービス「mediPhone(メディフォン)」と連携し、必要に応じて医療通訳を利用できる体制を整えています。

mediPhoneは、医療機関と外国人患者のコミュニケーションを支える医療アクセス支援サービスです。GTN Assistantsの利用者はアプリから医療に関する困りごとを相談でき、受診前の相談や病院探し、予約のサポートに加え、必要に応じて医療通訳を利用することができます。症状や治療内容を正しく伝え、理解することを支えることで、安心して医療を受けられる環境づくりにつながっています。

※本サービスは、適切な診療科の案内や受診手続きのサポート、医療通訳を目的とするものであり、医師による診断等の医療行為を行うものではありません。

「一人ではない」と思える環境をつくること

日頃から困りごとを相談しやすい関係性は、大切な支えになります。一方で、医療のように専門的な知識や対応が求められる場面では、個人の経験や善意だけでは支えきれないこともあります。

また、医療の相談は、症状や身体に関わるセンシティブな内容を含むことも少なくありません。そのため、身近な友人や同僚だからこそ相談しづらかったり、通訳をお願いすることにためらいを感じたりする人もいます。外国人コミュニティが小さい場合には、「個人的な情報が広まってしまうのでは」と不安を感じることもあるようです。

だからこそ、「困ったときはここに相談すれば大丈夫」と思える窓口や、必要に応じて専門的なサポートにつながれる仕組みがあることは、大きな安心につながります。身近な人の支えに加えて、会社として相談先を用意しておくことも、外国籍社員が安心して働き、暮らせる環境づくりのひとつではないでしょうか。
医療という身近でありながら見落とされがちなテーマを入り口として、どんなサポートができるだろう?そんな視点で、あらためて環境づくりを考えてみてはいかがでしょうか。

まずは、こんなことから考えてみませんか?

この記事を読んで、「自社で働く外国籍社員は、体調を崩したときや病院にかかる必要があるとき、安心して相談できる環境があるだろうか」と感じた方もいるかもしれません。大きな制度を整える前に、まずは身近なところから振り返ってみることも大切です。

□ 体調が悪くなったとき、安心して相談できる窓口や人がある
□ 健康診断の結果や紹介状について、必要に応じて相談できる環境がある
□ 入社時に、日本の医療制度や受診の流れを伝える機会がある
□ 病院選びに迷ったとき、相談できる仕組みがある
□ 必要なときに、母語で相談できるサービスや支援先を案内できる

ひとつでも「もっとできることがありそう」と感じる項目があれば、それが職場の安心につながる第一歩になるかもしれません。

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外国籍社員が安心して働ける環境づくりには、住まいや仕事だけでなく、医療を含めた生活面の支援も重要です。 GTNでは、医療を含む生活全般の困りごとに対応できる環境づくりを通じて、外国籍社員の安心と定着を支援しています。

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