多文化チームで考える、日本の防災文化

2026年03月06日

多文化チームで考える、日本の防災文化

3月は、日本で「防災」の話題を目にすることが増える季節です。3月11日は、2011年の東日本大震災を思い起こす日でもあり、ニュースや特集でも“備え”が取り上げられます。一方で、海外で育った方の中には「防災って、日常の話題ではなかったかも」という方もいるはず。そこで今回は、日本の“防災文化”をちょっとのぞいてみつつ、GTNメンバーがふだんからやっている小さな工夫もあわせてご紹介します。大がかりな準備じゃなくて大丈夫。できるところから、一緒に始めていきましょう!(EP204)

防災は“特別”じゃない。日本の日常にある備え

日本では、小中学校で避難訓練が定期的にあります。地震が起きたら机の下へ、放送に従って移動して……と、子どものころから少しずつ体にしみ込ませていく感じです。

また、学校だけでなく、会社や地域で防災訓練が行われることもあります。日本では「災害は起こりうるもの」という考え方がベースにあります。ちなみに9月1日の「防災の日」は、1923年の関東大震災をきっかけに定められました。

日本らしい存在といえば「緊急地震速報」。スマホやテレビから突然“あの音”が鳴ると、最初はびっくりしますよね。でも日本では、「まず身を守ろう」の合図として受け取る人も多いようです。

そして実は、「防災」って暮らしの中にもさりげなくあるんです。たとえばコンビニや一部の自販機が災害時の供給拠点になったり、自治体のハザードマップがアプリでさっと見られたり。“知っておく”ことのハードルが低いのも、日本の防災文化のいいところかもしれません。

初めて日本で地震を体験した外国人の方が「周りが落ち着いていて驚いた」と話すこともよく聞きますが、ふだんの積み重ねが、いざというときにちゃんと効いてくるのかもしれませんね!

GTNメンバーに聞いた!初めての地震、どう感じた?

多国籍メンバーが働くGTN。せっかくなので、「日本で初めて地震を経験したとき、どう思った?」を聞いてみました。母国の防災事情もあわせてご紹介します。

B.Hさん(ベトナム・ハノイ出身/来日15年以上)

初めて地震を体験したのは、日本に来て数か月後の夜、自宅にいるときでした。揺れはそれほど大きくありませんでしたが、当時はまだ小学生で、家族も地震についてほとんど知識がなく、とても不安でした。何より印象に残っているのは、「どうすればいいのか分からなかった」ということです。

ベトナムでは特別な防災準備をする習慣はあまりなく、災害について学ぶ機会も多くありませんでした。日本では小学校で避難訓練があり、防災頭巾の使い方や救助袋についても教わりました。日本は防災意識がとても高い国だと感じています。東日本大震災をきっかけに、防災についてより真剣に考えるようになりました。現在は自宅に防災セットを用意し、すぐ持ち出せるようにしています。

\来日したばかりの方へ/
来日前や来日後すぐに、地震について基本的な知識を調べておくこと、住んでいる地域の避難場所を確認しておくことをおすすめします。知っていることが、いざというときの大きな支えになります。

S.Dさん(ブラジル出身/来日5年以上)

来日して翌日、初めて地震を体験しました。道に迷って2時間歩き、やっとシェアハウスに到着して休んでいたところ、突然揺れが起きました。疲れ切っていたせいか、そのときは「思ったより大したことないな」と感じましたが、あとで聞くとかなり強い地震だったそうです。

ブラジルでは大雨による洪水や土砂崩れが多いですが、日常的に防災バッグを準備する習慣はあまりありません。日本では防災グッズが販売され、日頃から備える意識が高いと感じます。今は防災バッグと飲み水を準備しています。

\来日したばかりの方へ/
地震や津波を「大したことない」と思わず、まずは避難場所を確認してください。そして、防災バッグと飲み水だけでも早めに準備しておくことをおすすめします。

C.Rさん(イタリア・シチリア州出身/来日5年以上)

岡山大学の言語カフェで英会話のアルバイトをしていたとき、山陰地方でマグニチュード6を超える地震が発生しました。揺れを感じる数秒前、参加者全員のスマートフォンが「地震です」と一斉に鳴り出しました。その日に集まっていた留学生の中には日本語が十分に分からない人もいて、「なぜ携帯が日本語で話し出したのか」と固まってしまう人もいました。私自身もパニックになりかけましたが、向かいにいた日本人の同僚はとても冷静でした。すぐに扉を開け、逃げ道を確保し、何事もなかったかのように戻ってきたのです。後で理由を聞くと、「強い地震でドア枠が歪むことがあるから、まず逃げ道を確保する」と教えてくれました。その覚悟と冷静さが、今でも印象に残っています。

イタリアでも地震はありますが、「物を備える」というより、「どう動くか」という戦略を考えておく文化です。今は私も、職場で長い地震が起きたらまず扉を開ける習慣を身につけました。自宅ではモバイルバッテリーや簡単な防災セットを準備し、ドアストッパーも設置しています。

\来日したばかりの方へ/
災害を軽視してはいけませんが、常に恐怖に怯える必要もありません。基本的な備えを整えておけば、いざという時のパニックは軽減できます。助けてくれるのは自分の行動です。迷わず動けるように準備しておきましょう。

P.Nさん(ネパール出身/来日5年以上)

初めて日本で地震を感じたとき、私はドミトリーの5階にいました。突然スマートフォンが「地震です」と大きな声で知らせ、建物が揺れ始めました。5階にいたこともあり、とても大きく感じ、「建物が倒れるのでは」と怖くなりました。

ネパールでは以前、地震への備えはほとんどありませんでした。しかし2015年の大地震をきっかけに、耐震基準の見直しや防災意識の向上が進んでいます。日本では日頃から訓練があり、建物も耐震構造がしっかりしていて、防災意識が高いと感じます。私も今は、防災バッグに水やインスタント食品、懐中電灯、モバイルバッテリーを入れ、すぐ持ち出せるようにしています。避難場所も確認しています。

\来日したばかりの方へ/
日本は自然災害が多い国です。パニックにならず落ち着いて行動することが大切ですが、そのためには事前の準備が必要です。防災グッズや避難場所の確認を早めに習慣にしてください。また、困ったときは遠慮せず周囲に相談することも大切です。

多国籍チームで考える💡安心のためのヒント

防災は、特別なことをするというより「少し意識すること」の積み重ねです。会社・外出先・自宅で、できることを整理してみましょう!

🏢 会社・外出先でできること

✔ 避難経路を“なんとなく”でも確認しておく
オフィスや駅、よく行く施設で「非常口はどこ?」と一度見ておくだけでも、いざというときの安心感が違います。集合場所や連絡手段(チャット/電話など)も、チームで軽く共有できるとより安心です。

✔ 小さな“持ち出しセット”を意識する
大きな防災バッグでなくてもOK。モバイルバッテリー、常備薬、少額の現金など「外出中にあると助かるもの」を意識しておくと心強いです。


🏠 自宅でできること

✔ 家具を固定する・通路を空けておく
地震のけがの多くは、倒れた家具や落下物が原因と言われています。突っ張り棒や固定器具で対策を。ドアの前や通路に物を置かないだけでも安全性が上がります寝るときはカーテンを閉めて、足元にはスリッパを。ガラス飛散によるリスクを減らせます。

✔ 非常用バッグを用意する
水、非常食、ライト(電池)、応急手当セット、常備薬、毛布などをひとまとめに。パスポートや在留カードなど重要書類はコピーをジップ袋へ。領事館の連絡先のメモも入れておくと安心です。大事な書類は、コピーに加えてスマホで写真を撮って保存しておくのもおすすめです。

✔ ローリングストックで、無理なく備蓄する
非常食を特別にそろえなくても大丈夫。普段食べているレトルトや缶詰、飲料水を少し多めに買っておき、「食べたら買い足す」を繰り返す方法を“ローリングストック”といいます。賞味期限を気にしすぎず続けやすく、いざというときも食べ慣れたものがあると安心です。


🌳 どこにいても共通で大事なこと


✔ 家族・友人と“連絡の約束”を決めておく
災害時は電話がつながりにくいこともあります。「まずはこのアプリで連絡する」「連絡が取れないときは◯時間後にここで確認する」など、簡単なルールを決めておくと安心です。

✔ 情報を受け取れる準備をする
多言語対応している防災アプリをダウンロードしたり、緊急情報の通知をオンにしておきましょう。「何が起きているのか分かる」ことが、落ち着いて行動する助けになります。

👉 多言語対応の防災アプリ📱

Safety tips(観光庁監修)
地震・津波・気象警報などをプッシュ通知で受け取れる、旅行者/在住者向けの定番アプリ。避難時に使えるフレーズ集なども入っています。

NERV防災(ゲヒルン株式会社)
地震・津波・噴火・大雨による土砂災害や洪水リスクなど、位置情報に合わせてリアルタイムでアラートを受け取れます。日本語→英語の自動翻訳など、多言語での情報共有も意識された設計です。

Disaster Preparedness Tokyo(東京都)
“遊ぶ・学ぶ・使う”のコンセプトで、日ごろの備えから災害時の行動までまとめて確認できる公式アプリ。東京周辺にいる人には特に便利です。

防災は“不安”ではなく“安心”のために

防災の話をすると、ちょっと気持ちが重くなることもあります。でも、備えって「怖がるため」ではなく、安心して暮らすための工夫でもあります。この機会に、身のまわりをひとつだけでも見直してみませんか?

\体験してみると、意外と“わかる”/

「知識だけだとピンとこない人は、体験してみるのが早いですよ!」——そう話してくれたのは、GTNメンバーの呉さん。東京消防庁が運営する防災館では、地震・煙・暴風雨などを体験しながら学んだというその感想は、まさかの「楽しかった!」。体験すると“自分ごと”になりやすく、防災意識も自然と上がったそうです。

防災を学べる場所はほかにもたくさん。おでかけついでに、気軽にのぞいてみるのもおすすめです!

東京消防庁の防災体験施設(防災館)
地震・煙・消火などを“体験しながら”学べる、東京消防庁の防災館。都内に複数あり、行きやすい場所を選べます(無料/予約の要否は施設・コースによって異なります)。

そなエリア東京(東京臨海広域防災公園)
首都直下地震後の72時間をシミュレーション形式で体験。クイズ感覚で学べて、防災の流れがよくわかります(無料)。

気象科学館(気象庁)
津波や地震、台風がどうやって予測・発表されるのかを模型や映像で学べる展示施設。ニュースの見方が少し変わります(無料)。

みんなのコメント

コメントがありません。

コメントする

おすすめ記事

人気記事

ページのトップへ