「日本のお母さん」との出会いが私の支えに ― Beyond Borders Vol.4

2025年10月24日

「日本のお母さん」との出会いが私の支えに ― Beyond Borders Vol.4

連載企画「Beyond Borders」の第4回は、GTNで15年以上にわたり活躍してきた韓国出身のウンジュさん。観光客として訪れた日本に魅了され、「日本のお母さん」との出会いや震災での経験を通じて育まれたキャリアと価値観についてお話を伺いました。(EP189)

🌏 GTN Beyond Borders Summit 開催 🌏
10月22日(水)、GTNでは文化や国境を越え、経営戦略として外国人活用を考えるイベントを開催✨
第一線で活躍する企業・有識者とともに、外国人活用を「特別な取り組み」ではなく「経営のスタンダード」にするための視座を共有します。

※本イベントは終了しました。引き続き特設サイトでイベント概要をご覧いただけます。

第4回は、保証企画部のリーダーを務めるウンジュさんです!アルバイト入社からキャリアを積み重ね、今では現場を支える中心的な存在となっています。

日本での暮らしを後押ししてくれた「お母さん」との出会い

―― まず、日本に来られたきっかけを教えてください。

最初は観光で訪れたのですが、静かな電車内や店員さんの丁寧な接客、人に対する配慮、ピンク色の桜並木の美しさに心を奪われました。文化の違いを感じながらも、「とても温かく、自分が思い描いていた国だ」と感じ、日本という国に強く惹かれたのを覚えています。

2度目は23歳のとき、ペットショップを経営する夢があって日本の展示会を見に来たんです。そのときに日本語の魅力を感じ、日本語学校へ通うことにしました。

最初は1年だけのつもりが、日本での居心地が良く延長し、専門学校まで進学。気づけばもう20年近く日本に住んでいます


―― 日本での生活を続けようと思ったきっかけは何でしたか?

私が「日本のお母さん」と呼んでいる方と出会ったおかげです。

日本語学校に通っていた頃、ドトールでアルバイトをしていました。そこで常連のお客さんから「韓国語を学びたい知人がいる」と紹介していただいたのがその方で、私も日本語を覚えたい、相手も韓国語を学びたいという思いが重なり、言語交換のような形で交流が始まりました。

その方は「娘のような若い女の子が、一人で他国の日本に来て、誰にも頼らず一生懸命頑張っているなんて、本当に応援したくなる」と、とても暖かいお言葉をかけてくださったんです。

「ちゃんとご飯は食べているの?」「困っていることはない?」と毎日のように連絡をくださり、インスタントラーメンやパンを袋に詰めて自宅のドアノブにかけてくださることもあって、その温かさに何度も助けられました。

一緒にご飯や買い物に出かけたり、週末には東京タワーなど観光地に連れて行ってくれたり、夏休みや冬休みにはご実家のある長野県に連れて行ってもらったこともあります。本当の親子のように過ごせた時間は、とても幸せな思い出です。


ーー とても素敵な方ですね!当時の支えが大きかったのが伝わってきます。

そうですね。部屋を探していたときも、どこの不動産会社に行っても外国人は断られる中で、一緒に不動産会社を回ってくださり、連帯保証人も引き受けてくださいました。そのおかげで、人生で初めて自分の部屋を契約することができたんです。あの日のことは、一生忘れられません

先ほどお話しした専門学校への進学も、彼女のアドバイスが後押しになりました。「日本のお母さん」との出会いがあったからこそ、「もっと日本にいたい」と思えるようになったんです。今でも連絡を取り合っていて、私にとって一生の恩人です。この方がいなければ、今の私はいないと思います。

結婚式でのウンジュさん

―― 日本での生活に慣れていく中で、戸惑ったこともあったのでは?

はい、特に「本音と建前」の文化ですかね。最初は失敗もありました。

韓国では思ったことをストレートに伝えるのが普通ですが、日本では「遊びに来てね」と言われても本心とは違うことがある。その違いが分からず、専門学校でできた日本人の友人から「今度遊びにおいで」と言われたのを真に受けて声をかけたところ、微妙な反応をされたことがありました(笑)。その時はインターネットで調べたのを覚えています。その後は日本のお母さんに「こういう時、日本人はどんな気持ちなの?」とよく相談し、教えてもらっていました。

相手を傷つけないための言葉の工夫なんだと理解できるようになり、今では自分自身も自然に使うように。韓国の友人から「そういうところ、日本人っぽいよね」と言われることもあります。気づかないうちに、日本独特の文化に馴染んでいったんだなと感じます

GTNでの仕事を通して感じた使命と成長

―― GTNでのお仕事について教えてください。

現在は保証企画部でリーダーを務めています。原状回復*ユニットというチームで、お部屋の解約処理をはじめ、オーナー様からの原状回復費用請求の査定や送金手配などを担当しています。

GTNに入社して15年経ちますが、これまで複数の部署を経験し、アルバイトから正社員、そしてリーダーへとステップを重ねてきました。現在は子育てと両立しながら在宅勤務を中心にしていますが、子育てが落ち着いたらマネジャーにも挑戦したいと思っています。

*原状回復...賃貸物件の契約終了時に、借主が借りる前の「入居時の状態」に戻す義務


―― アルバイトからスタートし、今ではリーダーに!もともと役職を目指していたんですか?

そうです。社長の「外国人が困っているのを助けたい」という考え方に共感したことが大きいと思います。常に口にされているその思いを入社当時から繰り返し聞いていて、その姿勢に強く惹かれました。

だからこそ、ただ共感するだけではなく、自分も力をつけて発信できる立場になりたい。そのためには役職に就くことが必要だと考えるようになったんです。今もGTNにいるのは、やはりその考え方が好きだからなんです。
―― そんな中、仕事で特に印象に残っている出来事はありますか?

2011年の東日本大震災です。国内の電話がつながらず、母国の親御さんから「わが子は無事か」と泣きながらの電話が殺到しました。私は一件ごとに応対し、回線が復旧次第必ず契約者に連絡すると約束。安否確認やご家族への報告を続ける中で、1本の電話が誰かの安心につながることを実感しました。

その後の1年間は、賃貸の解約手続きや再来日のサポートなどに追われる日々。自分自身、怖さや不安を抱えながらも、この経験を通して人の命の重みを考えるようになり、GTNの「日本と母国をつなぐ存在」という使命を強く感じました。


―― 震災の対応を含め、日本で働く中でさまざまな経験をされてきたと思います。ご自身の成長を感じる部分は?

日本で働く中で、私の価値観は大きく広がりました。命や家族の大切さを改めて考えるようになりましたし、GTNで多様な仲間と働く中で、宗教や差別など今まで考えたことのなかった価値観にも触れ、人生そのものが変わったと感じています。

多くの出会いや経験を通じ、挑戦も失敗も含めてすべてが学びとなり、今では「人生を楽しむ」気持ちを大切にできるようになりました。これも日本で働き、GTNで多様な出会いを得られたからこその成長だと思います。


―― お話を伺ってきて、ウンジュさんの歩みや思いがとても伝わってきました。
ここまで読んでくださった方々へ、どんなメッセージを届けたいですか?
외국인관련해서라면 무엇이든 맡겨만 주십시오!GTN입니다!
外国人のことなら、お任せください!GTNです!
実はこれ、お笑い芸人・安村さんの「安心してください、はいてますよ!」のフレーズにちなんでいます🤣
外国人のことで困ったときに思い出してもらえる存在でありたい。それが私の願いです。

最後に

GTNでの15年を通じて、アルバイトからリーダーへと成長してきたウンジュさん。震災での経験も含め、数々の困難を糧にしてきた姿が心に残りました。

いかがでしたか?

これからもGTNの仲間たちの越境ストーリーをお届けしていきます。
次回もぜひ楽しみにしていてください☺️

Beyond Borders Summit ー 国籍も、文化も、企業の未来も。すべてを越境する新しい視座を。

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