海のない国から描いた新しい夢― Beyond Borders Vol.2

連載企画「Beyond Borders」第2回は、ネパール出身のディクシャさん。 多くの外国人が留学や仕事をきっかけに日本へやって来ますが、彼女の理由は少しユニークでした。 10代で来日し、異国での生活や学びを通して見つけた気づきや成長とは──? 「海のない国」から日本へ渡った越境ストーリーを、ぜひご覧ください。(EP187)
GTNの社員の約7割は外国籍。
なぜ日本を選んだのか、どんな思いで働いているのか──。
連載企画「Beyond Borders」では、GTNの外国籍社員、一人ひとりの「越境ストーリー」を通して、多文化共生のリアルをお届けします。
そして、 「外国人活用=前向きな経営戦略」であることを、一緒に考えていきましょう。
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10月22日(水)、GTNでは「文化と国境を越えた経営戦略」をテーマとしたイベントを開催します✨
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第2回は、世界に44ヵ国しかない「海に面していない国」のひとつ、ネパールから日本にやって来たグローバル生活サポート部のディクシャさんです!
海のない国から、日本で描いた成長の道

実は、私が日本に来たきっかけはお見合い結婚なんです。パートナー(今の夫)の日本での仕事が決まり、結婚後に一緒に来ました。ちなみにネパールでは、文化や宗教の背景から結婚前に一緒に住むのは難しいんです。まだ10代でしたし、周りの友人たちが大学へ進学していく中で、少し珍しいスタートだったと思います。でも私はずっと「大学で勉強したい」という思いを持っていて、来日してからは日本語学校に通って資格を取り、大学にも進学しました。
実はネパールには海がありません。だから日本を“海のように広がる国”と感じていました。でもそれは単なる風景の話ではなく、私にとって「無限の可能性」にあふれて見えたんです。
ネパールにいた頃、私が使えるのはネパール語と英語だけ。進む道も限られていました。でも日本に来て日本語を学び、大学に進学できたことで、自分の可能性は一気に広がりました。ここでは英語も武器として活かせるし、日本語での挑戦もできる。まさにキャリアの選択肢が増え、「新しい未来を描ける国」だと実感したんです。
文化も言語も新しい挑戦ばかりでしたが、その挑戦に飛び込むことで、自分の成長につながったと思います。ちなみに…今でもシーフードはちょっと苦手なんですけどね(笑)。
こうして最初の一歩を踏み出したのが、今の私の成長の始まりでした。

まさにその通りです。来たばかりの頃は、日本語がほとんどできなくて、本当に大変でした。道に迷ったときも、聞きたい言葉が出てこなくて困りました。
さらに、私は留学生ではなく家族滞在ビザで来日したので、最初に日本語を勉強できる場を探すのも一苦労でした。どこに行けば学べるのか、情報もなくて、すごく不安だったんです。
それでも、なんとか日本語学校を見つけて通い始め、そこで友人や先生に支えられました。宿題を手伝ってもらったり、生活の細かいことを教えてもらったり。本当に心強かったです。その積み重ねがあったからこそ、無事に大学に進学するという夢も叶えられました。大学でも、日本人や海外ルーツを持つ友達と出会い、日本語の授業や宿題を一緒に乗り越えてきました。そこでできた仲間たちは、私にとって大切なコミュニティになりました。
今年で日本に来て8年になりますが、振り返ると「助けてくれる人がいたから乗り越えられた」と強く感じます。最初は不安がいっぱいでしたが、支えてくれる人とのつながりがあったおかげで、徐々に日本を「第二の故郷」のように思えるようになりました。
この経験があるからこそ、今の私もGTNで仲間との交流を大切にし、コミュニティを作ることを意識しています。


やはり、私と同じく、コミュニティの支えはとても重要ですね!
多文化の職場が教えてくれること
私はグローバル生活サポート部で働いています。外国籍のお客様と不動産の管理会社の間に立って、契約や生活に関するサポートをするのが主な仕事です。電話やメールでのやり取りが中心ですが、できるだけ丁寧に説明し、お客様が安心して暮らせるように心がけています。
実は、日本に来たばかりの頃、住まいのことはすべて家族が準備してくれたので、正直、賃貸契約や生活の手続きについて自分で経験したことはなかったんです。でもGTNで働くようになってからは、住まいや生活に関する知識を一から学び、お客様に説明できるようになりました。自分自身の生活にも役立っていますし、「働きながら日本での暮らし方を学んでいる」という実感があります。
例えば、あるとき日本語があまり話せないお客様から「部屋の天井から水漏れがして困っている」と相談を受けました。すぐに管理会社へ状況を伝え、一時的に別の部屋を手配してもらいました。そのときに「あなたのおかげで安心できました。本当にありがとうございます」と言っていただいて、本当にやりがいを感じました。
グローバル生活サポート部の仕事は表に出にくいですが、お客様の生活の安心に直結しています。困っているときに「大丈夫ですよ」と伝えられることが、私の一番の誇りです。

特に英語を使うときに気づいたことがあります。私はネパールで英語を学んだのですが、ネイティブの人からすると「ちょっと丁寧さが足りない」と受け取られることがあったんです。自分では普通に話しているつもりでも、相手にとっては「冷たく聞こえる」と…。その経験から「文化によって言葉のニュアンスが全然違うんだ」と学びました。それ以来、相手に合わせて言葉を選ぶなど、「伝え方」を意識するようになりました。
また、サポートの仕事ではトラブル対応や調整も多くあります。その中で、状況に合わせて臨機応変に対応する力も鍛えられました。お客様の困りごとを解決するとき、ただ自分の考えだけで動くのではなく、「この人は今どう感じているか」「何を一番大事にしているか」を考えるようになりました。
こうした経験を通じて、世界には本当にさまざまな多様性があり、互いに理解し合うことの大切さを強く実感しています。これは日本で働く中で得られた、私にとって一番大きな成長だと思います。今後、多様なバックグラウンドを持つ人たちと一緒に働くときにも役立つと思います。

でも日本では、電車も仕事も、みんな時間をきっちり守りますよね。私自身、時間を大切にしたいタイプなので、「ようやく自分に合う場所を見つけた」と感じました。予定通りに物事が進むことに安心感があり、この点は本当に自分に合っていると思います。
さらに印象的だったのは、人間関係のバランスです。職場では同僚や上司に丁寧に接するのが当たり前ですが、仕事のあとは飲み会などでフランクに交流する機会もあります。ネパールでは職場の人と飲みに行くことはあまり一般的ではなかったので新鮮でした。実際に参加してみると、仕事中には話せないことを気軽に共有できて、関係が深まるのを感じました。
GTNでも、グローバル生活サポート部の多言語セクションで交流会を実施したり、社内イベントがたくさんあったりして、いろんな人とつながれるのはとても楽しいです。日本の「時間を大事にする文化」と「人と人をつなぐ文化」、その両方から学ぶことが多いです。


TIME IS MONEYの香港出身の私にとって、日本人が時間を守るのは「ビジネスシーンでは当たり前じゃん」と思っていました。けれど、ディクシャさんとの会話から、“この世に絶対の常識なんてない”とリマインドされました。それぞれの文化や背景を理解することの大切さを、改めて感じています。
नयाँ लक्ष्य राख्न र नयाँ सपना हेर्न कहिल्यै ढिलो हुँदैन。
新しい夢を描くのに、年齢はただの数字。

最後に
ディクシャさんの越境ストーリーを振り返って、一番強く感じたのは「勇気」です。
まだ若い時に、周りとは違う道を選び、全く知らない国で“ゼロからのスタート”を切る。その中で自分の夢を原動力に、不安や困難を乗り越えてきた姿勢に、心から敬意を抱きました。
知らない「海」に飛び込むような決断をした彼女だからこそ、いま日本で新しい夢を描けているのだと思います。
いかがでしたか?
これからもGTNの仲間たちの越境ストーリーをお届けしていきます。
ぜひ次回も楽しみにしていてください☺️
📢 イベントのお知らせ
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