なぜ外国人を雇うのか? 企業がダイバーシティを求める必要性

2021年11月09日

なぜ外国人を雇うのか? 企業がダイバーシティを求める必要性

近年、日本の企業における外国人雇用率が急増しています。少子高齢化社会に向かっていく日本にとってそれは必然でもありますが、異なる文化を持つ人と働くためにはどのようなことを考えていくべきなのでしょうか。そして、その多様化によって企業はどのように変わっていくのでしょうか。

今回は、外国人人材サービスのパイオニアであるグローバルパワーで取締役を務める、利重 直子さんにお話を伺いました。
長く営業の経験を積んでいらっしゃった利重さんは、グローバルパワーの取締役を務めつつ、現在も営業の現場で活躍されています。また、外国人雇用とマネジメントに関する情報サイト「グローバルパワーユニバーシティ」の編集長も兼任。サイトに掲載される記事の執筆、イベント企画、ご自身のTwitterでの情報発信もされています。雇用を通して日本の企業の在り方を考えてきた利重さんは、外国人人材業に携わって10年以上になるそうです。

___まずは利重さんご本人について伺いたいと思います。グローバルパワーで働かれることになった経緯は、どういったものだったのでしょうか。

利重 直子(以下「利重」):大学卒業後、自然食品の卸・小売り企業に入社しましたが、職場環境に馴染めず8ヶ月で退職、偶然、求人情報誌でみかけた仕事が、人材派遣会社の営業職でした。それが人材業界との出会いで、営業のおもしろさも知りました。その後、いくつかの会社を経験していますが、かつての上司の縁でグローバルパワーにジョインをしました。

___それで入社されたのが2010年ですね。

利重:いくつかの転職を経て感じたのは、私にとって職業選択のプライオリティーは「誰と何をやるか」ということでした。どういう志をもち、何を大切にして会社運営しているかはすごく大事で、事業を通じて社会にどう貢献していこうと思っているのか、ということでした。高度外国人の人材事業は、日本の未来をつくる仕事であり、誰かの人生の後押しができる、そこにやりがいを感じることができました。それが33歳の時で、自分のキャリアに迷いがなくなりました。

___なるほど。では、人材事業のやりがい、モチベーションはやはり人と接して転職したい方の後押しができることですか。

利重:それももちろんですが、一番は当社の人材サービスをご利用いただくことで、お取引先様の業績が伸びたり、事業拡大に貢献できることですね。日本は政治よりも企業の方がリーダーシップは強いと思っているので、日本がより豊かになるには、企業の成長が重要だと感じています。その企業の役に立てる、特に外国人材というこれからの可能性に関われることに誇りを感じていますね。

___つづいて、グローバルパワーについてお伺いします。同じ業界の中で強みとなっているのはなんでしょうか。

利重:独自で構築した高度外国人材のデータベースと、外国人雇用に関する高い専門性です。独自のデータベースとは、2013年に始めた、日本で働く外国人向けの転職情報サイト「NINJA」で、今では当社のエンジンのような存在となっており、競争力の要因です。また、グローバルパワーは2004年の設立当初から外国人材事業を主たる事業として取り組んでいますので、社員全員が在留資格についての知識を持っており、長年、積み重ねてきた成功も失敗もノウハウとして蓄積しています。したがって、高度外国人材のマーケット・外国人雇用実務など含め、専門性が高い組織であることが強みです。

株式会社グローバルパワーが展開している、日本で働く外国人のための転職・就職情報サイト「NINJA」

私が入社したのは2010年でしたが、そのときに比べれば外国人を雇うということはずいぶん一般的になってきました。

___状況はどんどん変わっていますよね。では、そもそも日本の企業が外国人を採用する利点とはなんでしょうか。

利重:一言で言えば、イノベーションの創発と生産性の向上です。海外展開・取引において、その国の文化に精通しているなど、現地の言語を母語としている社員がいることは大きいです。

組織が多様化することで生産性が上がる、ということもデータでわかっています。日本では「言われる前にやる・言われなくてもやる」ことが評価される傾向にありますが、日本の暗黙の了解は外国人には通じないので、ひとつひとつ業務と成果を言語化していく必要があります。それが結果的に社員全体のコミュニケーション能力を上げ、仕事の効率化にも繋がります。朝礼など、日本では「当たり前」という感覚で受け入れていた習慣も、外国人社員の問いかけで「これは、本当に必要なのか?」と考えるきっかけになることもあります。

___外国人キャリアは何を求めて転職するのでしょうか。また、企業側は何を求めていますか?

利重:ご自身の語学力や母国との繋がりを生かしたいと考えている方が多いですね。企業もそういった背景から外国人材を求めていることが多いです。

企業が、社会人である外国人を求める理由は、日本の商習慣を理解しているということもポイントかと思います。海外から人材を招へいし、日本の文化もマナーもわからない状態の人材と一緒に働くよりも、日本で生活をしており、日本企業で既に仕事の経験がある方の方が組織にとっては馴染みやすい為、すでに日本での社会人経験がある方を求め、当社に採用のご相談をいただく事が多い状況です。

___外国籍の方を雇用する際に、スキル面以外で注目するべきポイントはありますか。

利重:企業によって求めるスキルや雇用基準が違いますので、それぞれだとは思いますが、ひとつ言えるのは、日本で働く外国人材は、異国で仕事をしようというガッツがあり、様々な困難を乗り越えてきた経験のある人たちだということです。少子高齢社会である日本企業は、国籍・性別・年齢問わず多様な労働力を活用していかなければ事業存続が難しい状況です。もしかしたら、外国の方を雇うことで失敗もあるかもしれませんが、必ず組織の学びになり、事業成長の糧になりますので、ぜひ挑戦してみて頂きたいと思います。

___外国籍の方は転職率が高いというイメージを持たれている方もいると思いますが、その点についてはどうでしょうか。

利重:キャリアアップに対して貪欲だと言うことはできると思います。働き続けてもらうために大切なのは、仕事の目的と、なぜその仕事が必要なのか説明すること、と企業の方にはお伝えしています。例えば、日本では新入社員が数年間さまざまな部署を経験したり、現場に配属されたりということは一般的なことと受け止められていると思います。けれど、外国人の中には、その意図が理解できない方もいます。したがって、キャリアビジョンを含め、なぜその必要があるのかをきちんと伝えることは大切です。

___先程のコミュニケーションのお話とも繋がりますね。

___外国人材事業について、ここ10年で変化を感じることはありますか。

利重:2013年くらいが転換期だったように思います。訪日外国人観光客数が伸び「爆買い」という言葉も流行りました。景気が上がって、観光業も伸びて、中国語が話せる店員がいるだけで店舗の売り上げが倍増するようなこともありました。

また、組織の多様化という文脈で、それまでは海外進出をしているメーカーでも、本社には日本人しかいないということもまだあったのですが、そういった状況もこのあたりから変わってきた気がします。

___コロナウイルス流行の影響はありましたか。

利重:影響は大きかったですね。観光業がストップして、グローバルパワーも売り上げが四割ほど減りました。反対に、サービス業を担う外国人材の失業が増えた分、求人サイトの登録者は増えました。それでも2020年は、紹介できる求人・働き口がないという状態でした。ただ、企業でもオンラインの活用が広がり、2020年の後半から回復の兆しはありました。

___最後に、これからのビジョンについてお聞きしたいと思います。グローバルパワーの企業理念は「世界で一番幸せな雇用を創る」となっていますが、幸せな雇用を生み出すために、これから必要なことはなんでしょうか。

利重:職場の中の人間が多様化していくことは必要だと思います。同質的な集団からは同じような考えしか生まれません。新しいもの・新しい価値を生み出すには多様化は必須だと思います。一昔前まで日本の企業は二十代から五十代の男性ばかりだったわけですが、女性の活用すすみ管理職も増えてきました。女性にかかわらず、更に外国人、シニアなどの視点を柔軟に取り入れていくということが、事業成長の鍵になってくると思います。

___利重さんが個人的に力を入れたいこと、気になっていることはありますか。

利重:日本企業における、外国人の雇用比率は上げていかなくてはいけないと思っています。外国人材の仕事をやっている中で、日本では、女性差別がまだまだあることに気がつきました。ジェンダーの平等に関して日本は後進国で、性別役割分業、女性の政治参加割合、管理職の女性比率、男女の賃金格差など、まだまだです。日本の女性はもっと解放される必要があると思っており、そういう場所に性別を超えて、外国人という異文化を持った人が入っていくことで、風穴を開けられるのではと考えています。つまり、外国人の雇用比率をあげることが、日本のジェンダーの平等を実現することにもつながると思います。そして、誰もが自分らしさや強みを発揮して働ける社会になれば良い、と思っています。

___今後は、日本の学生もダイバーシティという観点から職場を選ぶということが増えていきそうですね。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

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