日本に来たウクライナ人のためにできること ~「生活インフラ構築」という重要な支援~

2022年05月18日

日本に来たウクライナ人のためにできること ~「生活インフラ構築」という重要な支援~

皆さま、こんにちは。DIVERSITY TIMES編集長の山﨑です。
昨今ニュースでは見かけない日がない、日本へ避難されにきたウクライナの方の報道。
各地で受け入れが徐々に進む中「GTNでも何かできることはないか」といった想いから、
このたびウクライナ国籍の方を仲間に加えてサービスを展開していくこととなりました。
今回は特別インタビューとしまして、そのメンバーにお話を聞いてまいります。

現在の担当業務や対応言語について

山﨑:今どのような仕事を担当していますか?

オクサーナ:ウクライナからの避難民に対し、住まいの手続をサポートしております。また、初めて日本に来られる方がほとんどで、日本での生活をスタートするために色々な質問を聞かれることが多いので、それらのアドバイスもお伝えしています。

オルガ:どんなご希望があるか、またはどんなことで困っているかをしっかりヒアリングして、適切な対応をさせていただいています。

山﨑:そうなんですね。電話ででしたっけ?

オクサーナ:最初は電話でですが、その後は面談に来ていただいて改めて詳しくお話していますね。

今回の取材にご協力いただいたオクサーナさん(左)とオルガさん(右)

山﨑:やはり対応はおもにウクライナ語でですか?

オクサーナ:いえ、実はロシア語と日本語での対応がメインですね。避難先として日本を選択されている方は日本語がすでに話せる方も多いこともあり、逆にウクライナ語を使用する機会は今のところ無かったですね。

山﨑:え!そうなんですね。日本語で対応する方もいらっしゃるというのが意外でした。ロシア語でというのは、ウクライナではロシア語も広く使われていますもんね。

オクサーナ:そうです。ソビエト時代の名残りなんですが、地域によっては学校で教わる言語がロシア語です。その場合は教科書も全部ロシア語です。もちろんそういった方もウクライナ語はできるはずですが、大事な話をする時などはロシア語のほうがラクなんだと思います。

オルガ:私の出身である西ウクライナから避難民が来た際はウクライナ語を使用する機会があると思いますが、今のところまだですね。

ウクライナ人は日本語が上手な方が多い?

山﨑:「対応で使用している言語に日本語が多い」ということでふと思ったのですが、私個人的にはウクライナの方、来日前から比較的日本語が上手な方が多いような印象を持っています。皆さんどこかで学ぶ機会がありましたか?

オクサーナ:どうなんでしょうかね。ロシア語には独特な発音も多く難しい部分があるため、日本語を覚える際にイントネーションのなめらかさは自然と上手に身に付くのかもしれません。漢字は難しいですが(笑)

オルガ:オクサーナさんは語学が上手だと思います。私は日本に来た最初3年ぐらいは全然話せなかったです。そこから少しずつ話せるように努力しました。
山﨑:二人とも日本語学校は通ったんですか?

オクサーナ:いや、二人とも行ってないですね。自分たちで勉強しました。

オルガ:そういえば私、日本に来る前から日本のアニメやドラマをよく観ていましたね。ウクライナでも昔から人気です。もしかするとそれで日本語を多少なり勉強できた方もいらっしゃるのではと思います。

山﨑:いいですね!アニメやドラマを通してその国の言語が身に付いちゃう、これ結構うらやましいんです(笑)

そうすると、日本に興味を持ってくださるウクライナ人も以前から多かったのですか?

オクサーナ:以前からいましたが、最近になって特に流行ってきたような気がします。食べ物をはじめ日本文化全般ですね。日本を好きになる方が増えてきたんではないかなと思います。実際にウクライナ現地でも日本食のレストランや日本語学校などが以前より多いですので、日本を身近に感じられるようにはなったはずです。

当時の経験を活かし新規入国者へフォロー

山﨑:お二人は日本に来たばかりについてお聞きしてもいいですか?

オルガ:私は8年前に来日しました。色々な文化の違いを感じましたが、中でも私が印象的だったのは…「歩きスマホ」が問題視されているという点でした。

山﨑:歩きスマホ?

オクサーナ:あ、それ、オルガさんが何を言いたいのかなんとなく私にもわかります。

オルガ:日本では皆さんずっとスマホを手にしているように思います。電車の中でも街を歩いている時にも。あれはウクライナですとあまり少ない光景です。他人にぶつかってしまうことに注意を促されていること自体びっくりしました。

オクサーナ:新大久保は特にちょっと大変ですよね(笑)

山﨑:たしかに、周囲を見渡したり写真を撮っている人とかが多いですからね(笑)

オルガ:基本的に歩くのが遅いのと、動きが周りにつられがちだったり。今でも慣れません。
オクサーナ:私は19年前に来日しました。今でこそ外国人が日本に増えてきたのでだいぶ良くなりましたが、当時はまさに「白いカラス」な状態でした。ロシア語の比喩表現で「他と違って目立っている」という意味です。最初に住んでたのは東京都ではなく地方だったのでより一層、何かにつけてとても好奇な目で見られることが多かったです。

山﨑:生活環境を整えるにおいて大変なことはありましたか?

オクサーナ:実は来日当初、日本人パートナーがいたのでその方からのフォローもあり、それらを揃えることはあまり大変ではなかったですね。もともと日本に来ることを決意したのもその方がいたからであり、もしいなかったら自分は日本に来なかったと思います。

でも、もし私の場合のようなパートナーが存在せず、来日後すべての生活環境を自分で整えなくてはいけないとしたら、それはすごく大変なことですよね。

山﨑:やはりそうですよね。なので、そのためにも今の業務を通してお役に立っているわけですね。

支援団体はどこまで役に立てている?

山﨑:​今こういったご時世なので、まずそもそもウクライナ人を支援している団体は増えているんでしょうか?

オルガ:FRESC(外国人在留支援センター)が相談窓口になっているのは以前からそうですよね。ただFRESCはウクライナ人だけをサポートしてるわけではないので、対応言語も英語になってくるのかなと思います。

あと政府が民間の飛行機座席を借り上げる形での受け入れ支援をやりましたよね。避難民を乗せたポーランドとの直行便とかだったはずです。あちらは出入国在留管理庁が直下でおこなっていた取り組みだったので、それで日本に来た方は住居など準備があったようなので基本的にはGTNでサポートする対象にはならないです。GTNのサービスを受ける方々は自費で来日した人に限られてきます。

山﨑:そうすると…もしかして来日できている方々ってまだまだ限られているんでしょうか。

オクサーナ:そうかもしれないですね。保証人が準備できる人だったりとか、そういった余裕がある方のほうがどうしても多いのかもしれません。

オルガ:そう考えるともどかしい気持ちになります。
本当に助けを求めたい人々がまだ日本に来れずにいる。そもそも日本を知らなかったり「避難先は近隣諸国でいいや」と考える方ももちろんたくさんいらっしゃいますが、日本に来たい場合は先ほどの話の民間機借り上げの件も今は無いので、自費しかない。私の家族や友人はこの直近ではまだ来れていないです。
オクサーナ:そんな状態なので、新規入国者の負担は軽減させたい。私たちも来日当初に感じたように母国とのあらゆるギャップがありますので、提供しているサービスが皆様の心の支えになってていたいですね。

山﨑:「他にもこんなサービスあったら良いのに」と思うことはありますか?

オクサーナ:現状のGTNでかなり足りていると思います。今は特にですが、ウクライナ人にウクライナ人スタッフが案内すること。これが受けられさえすればそれだけでもありがたみを感じてもらえていると考えています。

今はまだ業務中に出会ってないですが「ロシア語・英語・日本語、全部不可、ウクライナ語しか話せない」という方もたくさんいらっしゃるはずですからね。

日本人にお願いしたい、ウクライナ人との接し方

山﨑:時は令和ですし、オクサーナさんが経験したような白いカラスの状況こそもう少ないかとは思いますが、これから先まだまだ日本各地に増えていくウクライナ人に対して、日本人からどのように接していくといいでしょうか。

オクサーナ:個人的には、今は報道で避難民について取り上げられることも多いおかげか、すでに日本人の皆さんに優しくしていただいている部分はたくさんあるので、これ以上たくさんのことを望むというわけではないですが

ひとつ挙げるとすれば、「見守る」ではなく「伝える」を心掛けていただけるとさらに良いかなと思います。来日初期は特に、どうしてもわからないことが多いです。

何か間違っていることなどに気付いていただいた際に、離れたところから改善を待っていただくよりも指摘で結構ですので教えていただけたほうが、私たちにとっても日本人の皆さんにとっても必ずプラスになるからです。

オルガ:具体的な例でいいますと、やはりゴミ出しルールですね。分別の細かさは自分たちだけだと完璧に理解できないことが多々あるので、しっかり教えていただけると近隣にも迷惑をかけずに過ごすことができます。
オルガ:あと…すべての物件があてはまるわけではないと思いますが、日本は部屋の壁が薄いなと感じることがわりとあります。これはウクライナと比較しての話です。なので、夜間の物音は想像以上に気を付けなくてはいけないということを教えるのも大事ですね。

山﨑:なるほど。ぜひ今後お二人の仕事を通して、そのようなトラブルを未然に防ぐもしくは発生しても早期解決してあげられるようにご活躍を応援いたします!

オクサーナ:ありがとうございます。日本に来たウクライナ人のために、これからもがんばってまいります。

山﨑:本日はありがとうございました!

編集後記

今回のお二人はGTNでグローバル生活サポート部という部署に配属して業務を担当しております。

外国人の生活インフラ構築において、住居や携帯電話の契約ももちろん大切かとは思いますが、長期的な目で見た際にはつまるところ「日常生活における些細な困りごとを解決してさしあげられる窓口」が存在することこそ特に重要だと私自身も考えております。
その点、解決のノウハウを豊富に揃えたGTNが、さらにウクライナの仲間が加わることでより強固な安心を提供していけるのではと思うと、今後楽しみにすら感じます。実際にお二人も「こんな会社があったなんて」と、この仕事に参加できたことを誇りに思ってくださっている様子でした。

これからのGTNのウクライナ支援、乞うご期待ください!

GTN Assistants 新CM 「さぁ自由を手に入れよう篇」

みんなのコメント

コメントがありません。

コメントする

さらに…

ページのトップへ